事前の証拠集めが大事
離婚をするには、大きく次の三つの方法があります。・夫婦の話合いで決める協議離婚・裁判所の調停で決める調停離婚・裁判所に判決を下してもらう裁判離婚調停離婚や裁判離婚をするうえでも証拠集めは重要です(離婚方法については後ほどくわしく解説します)。調停や裁判でも、裁判所での話合いで離婚を決めることができるため、相手方が事実を否定したりせず、円滑に調停や裁判上の和解が成立するのであれば、証拠がなくても特に問題はありません。しかし、調停や訴訟になるということは、夫婦の間に何らかの意見の食い違いや対立がそこにはあるわけで、スムーズに調停や和解が成立するとはかぎりません。たとえば、調停委員や裁判官の前で「私はDV(ドメスティック・バイオレンス=家庭内暴力)を受けています」と事実を突きつけたとしても、相手方が「いや、それは何かの間違いだ。そんなことはしていない」と否定するかもしれないからです。先にも述べましたが、裁判所は、証拠をもとに事実を認定します。そして、その事実があると主張する側がそれを証明しなければなりません。ですから、裁判所にその事実を認めてもらうためには、事実を裏付ける決定的証拠が必要となるのです。証拠があれば、調停委員や裁判官が相手方を説得してくれることも期待できるなど調停や和解交渉を有利に進めることもできます。このように、夫婦間で意見や考え方の違いがぶつかりそうなときは、裁判所に対して「このような証拠があるからこの事実は認められるべきである」と主張して有利に手続を進めることができるように、事前に証拠を収集しておくことがきわめて重要なのです。