探偵と未来
本書を通して探偵とはいかなる職業なのか、日々、どんな働き方をしているのか、その実態を少しでも理解していただけたものと思います。また信じられないような依頼案件の数々に接し、驚きとともに好奇心ををおいに刺激されたのではないでしょうか。不倫調査、人探し、ストーカー、企業の信用調査、盗聴器発見など、現代社会において探偵の業務は、まさしく世の中の裏側に潜む非日常の世界を観察し、人間の不条理な真実にアプローチすることです。そして、人々の営みに、正解というものはなく、その人が選んだ生き方が幸せであればと願いサポートするのも、探偵の大きな仕事であろうと信じます。今回、本書を書きにあたって、弊社の探偵たちに今までに携わってきた事例や印象深いエピソードなどを入念にヒアリングしました。それこそ屋台骨を支えてきたベテランから入社半年の若手まで話を聞き、改めて探偵という職業が担う役割の大きさと、一つひとつの任務に注ぐ彼らの情熱を痛感しました。探偵の労働条件は、改善しようと様々に工夫をこらしていますが、まだまだ厳しいものがあります。そんな厳しい環境の中で高いスキルを維持する、探偵たちの不断の努力は大変なのだと感じています。しかし、辛い現場の多い過酷も、涙でにじむ報告も、それらのすべてが人と人、社会と人間、そして愛と寛容につながっているのです。だからこそ悩み疲れた多くの依頼者に寄り添い、幸せになってもらって「ありがとう」と感謝されることで、大変だった業務の日々とてつもなく価値あるものに変わっていくのです。そんな心のご褒美を求めて、今日も探偵たちは尾行と追跡の現場に向かいます。